2004年04月02日

器用不器用

前回日本人の「サービス」への心構えのすばらしさについてお話ししたので、今回もちょっと日本人を褒め称えようかと思います。

よく言われることの一つに「日本人は器用だ」というのがあります。私は自慢じゃないですがお世辞にも器用だとはいえないタイプなので「そんなの人によるじゃーん」などと思っていました。何しろ一度にふたつ以上のことが出来ません。食べ歩きが出来ず立ち止まらなければアイスクリームを食べられませんし、、クッキーを食べながらジグソーパズルをしていれば、クッキーの代わりにパズルの一片をかじってしまうような人間です。娘のための洋服も作らないわけではありませんが、縫い目が曲がっている・・などというのはしょっちゅうです。それでも欧米人に接してみると、なるほど彼らと私たちは根本的に身体の構造が違うようなのでした。

娘の通ったアメリカンスクールのクラス(日本なら年中さんぐらい)には生徒が16人ほどいました。内、日本人の子が3人です。このクラスの中で鉛筆を握らずにきちんと持てる子供はたったの3人でした。そして、なんとその3人は丁度全員日本人だったのです。で、次に出来るようになった子が韓国人。さすがに人種の違いに思いを馳せないわけにはいきませんでした。
絵を描いても、日本人3人の絵だけが何故か他の子供達よりも発達の具合が早いようでした。3人がマンガのような絵を描き始めているときに、欧米人の子は頭に直接足がついている絵を描く状態。先生には「誰よりも小さい手をしているのに、こんなに上手に絵が描けるなんて驚き」と言われ、「もしかしてうちの子って天才かも」などと思ったのですが、日本に戻ってみれば極々平均的。いや、むしろ、ぼやぼやしていて教えておかなかったせいで、みんなよりも折り紙が折れなくてちょっと焦ったくらいです。そう、日本では幼稚園で当たり前のようにやる折り紙も、欧米人の子供には難しいのではないかと感じます。身体は娘よりも一回りも二回りも大きいわけですから、どこから発達していくのか、という点が違うのでしょう。日本の小学校のお受験の問題の中には、「お弁当箱をハンカチで包む」とか「リボン結びをする」とかいった類のものがありますが、あれは日本人に限定した問題ということにはなってしまいそうです。

余談ですが、そういったことを常に目にしていると、「他の子供と比べて・・」というのがまるっきり無意味だと思い知らされるので、子育てにはとても楽な環境でした。日本ももう少し国際化が進んで、「世の中には色々な人がいるんだ」ということを実感できれば、日本のお母さん達はもっと肩の力を抜くことができるのに、と思ってしまいます。

話をもとに戻して・・・。こうした違いは医療の現場などでもあるそうです。オペなどの細かな作業は日本人よりも時間がかかる、あるいは上手にできないという人の割合が高いようです。もちろん、それを練習やその他のことでカバーしようと努力はしているようですが、日本人の技術力に舌をまくことも多いのだと聞きました。
背中に手を回して帯を締めるという文化を作り上げたのもわたしたちの先祖ですし、私たちなら当たり前のように使いこなす箸も欧米人になると食事はともかく料理に使うことはありません。

日本がここまで発展してきたのはこういった技術力によるものでしょう。細やかな神経とその手先の器用さで部品を作り上げる町工場があったからこそ、有名大規模メーカーが素晴らしい作品を製造できたのです。一般の人たちはなかなか知る機会がないのが残念なのですが、日本のメーカーは製品にかなり厳しい社内規格を設けており、それらを実現させるのには下請け工場の精密な旋盤などの技術が必要になります。実際、そうやって技術力を高めてきたのです。そういった優秀な工場がこの不景気や後継者不足で姿を消しているのは、これからの日本にどれだけ深刻な影響を残すのだろうかと憂えずにはいられないのですが、政治家の方々はどう考えているのでしょう・・・。
せっかく日本人の多くが持って生まれた(全員ではないでしょうが)この特性を、上手に生かしていくことはできないのでしょうか?

欧米人が日本について思い浮かべるのは「○ニー」「ホ○ダ」「ニン○ンドー」の3企業です。もっと日本では、金融業ばかりでなく製造業を大切に扱うべきなんじゃないかと、製造業の端っこで働いていた私は思うのです。

(2003年4月4日記)
posted by Kako at 14:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行・地域
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