2004年04月05日

お入学

春といえば新しいことが始まる季節。この春に入園、入学を迎えたお子さんを持つ方々は、晴れがましくも何かと気忙しい日々を過ごしておられることだと思います。我が家の娘もどうやら二年生(作者注:2003年4月時)になり、「一年生ってかわいいんだよー」と生意気なことを言っています。

娘はオランダで既に小学生でした。小学生というとちょっと語弊があって、小学校の幼稚部に居た・・と言った方が正しいのかもしれません。オランダでは5歳になった年の9月から正式な小学生になりますが、4歳からいわば慣らしに入ることがほとんどです。娘は地元の学校ではなくインターナショナルスクールに通っていたのですが、この辺のシステムはオランダの方式に沿った形になっていました。当時娘は4歳。慣らし教育だったわけです。

4歳から・・と書きましたが、これが本当に4歳の誕生日から通い始めるのですから驚きです。当然、全員一斉の入学式はなし。それぞれの子供達がそれぞれの誕生日に学校生活をスタートさせるのです。一年中いつでも学校通い始めの子供がいて落ち着かない反面、先生はそういった子供達が少人数のために世話をしやすいという利点があるようでした。
日本では入学式・卒業式について「けじめをつけるため」「厳粛な場での行動を学ぶため」等躍起になって型にはめようとする傾向がありますが、世界には入学式そのものがない国もあるのです。そんなことに一生懸命になることが本当に大切なのかなあと疑問に思えたものです。

学校が始まるにあたっての諸注意もほとんどありませんでした。服装、鞄等指定されることはなく、思い思いの格好で出かけていきます。真新しいリュックをしょってくる子もいれば、親の使い古しのショルダーバックを引きずりながら持ってくる子もいました。鉛筆の本数や濃さまで指示されてお名前つけに忙しい日本とは大違いです。結局、「自分の責任で」ということが大切なわけで、自分で判断するということを小さいうちから自然に身につけていくのでしょう。指示された方が迷わずに済んで楽だということに気づかずにはいられませんでしたが。

個性尊重というのはあらゆるところで感じることでした。インターナショナルスクールという性格上、色々なバックグラウンドの子供達がいるわけです。髪の毛や体格など目に見える違い以外にも、予防接種などのシステムは国毎に違いますし、宗教上の理由で食べ物を指定している子供もいます。それらすべてをお互いに認め合わなければ集団生活など出来ません。我が家の娘も、ただみんなと一緒にいるだけで、日々、そういったことを肌で感じているようでした。そのおかげで、帰国後しばらくしても、娘は「人と同じでなければ」という強迫観念が薄いようで、いい意味でも悪い意味でもゴーイングマイウエイ状態が続いています。まあ、私が小さい頃から「人は人。自分は自分」と言い聞かせていたせいもあるかもしれませんが、それが日本で「人に合わせることができない」というマイナス面でとらえられないことを祈るばかりです。

学校から唯一指定されたことは、スナックを持っていかなければならないことでした。午前のおやつです。これは何も小さい学年に限ったことではなく、中学生や高校生も食べるもので、本国アメリカの習慣でもあるようです。午前中の間にスナック等でエネルギーを補給しなければ、お昼まで保たない・・ということなのだそうです。このスナックは特に指定されることはなく、機会があってクラスをのぞいたら、りんごを丸ごと一個かじっている子供がいてちょっとびっくりしました。(ちなみに日本人の友人がりんごうさぎを持たせたら結構子供達にウケていたようです)この辺もそれぞれの自由なのでしょう。

そういったことへのカルチャーショックの他にも、先生方の姿勢など驚くことは結構ありました。3時の下校から一時間もしないうちに先生方も帰宅です。また、休み時間は子供達の休憩時間だというばかりでなく、先生方のコーヒータイムとしての意味も強いようでした。実際、私が娘のことで相談しているさなかチャイムがなると、「申し訳ないけど、今はコーヒータイムで、コーヒーを飲まなければいけないの。15分後にまた」と言って教室から出て行ってしまいました。日本的感覚からすれば「信じがたい」ことでしょう。ただ、日本のように全てを先生に任せて、その責任の範囲もあいまいであることがいいとも言えないかもしれません。先生方も決してボランティアではなく、あくまでの仕事の一つなのだと考えれば当然主張すべき権利もあるでしょうし。でも、子供を預ける親の立場としてはなかなかそう割り切れないものがあります。ついつい子供には損得ない愛情を・・と思ってしまいます。もっとも担当してくれた先生はとてもベテランで、非常に娘達をかわいがってくれたことを書き添えておきます。

というわけで、娘のインターナショナルスクールへの「お入学」は本当に様々な発見をもたらしてくれた出来事でした。母がこうやっていちいち驚いている頃、娘はといえば英語に悪戦苦闘。早い内から母子分離はうまくいっていたにも関わらず、かなり頑固な登校拒否を起こしてしまいました。最近は日本でも子供への英語教育がさかんですが、問題や課題が色々あるような気がしてなりません。次回はこのことについてもお話ししてみようと思います。

(2003/4/19記)
posted by Kako at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 思想
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