2004年04月09日

Happy Birthday 女王様

日本は皆さんお楽しみの黄金週間突入・・(作者注:この記事は2003年5月2日に書かれたものです)とはいうものの、今年は飛び石連休で大型の連休にはならず、海外に脱出する人の数も例年に比べるとかなり少ないのだそう(もともと子供が学校に通っていればそんなに大型連休にはならないのですが)。日本の黄金週間の時期、オランダでも大きな祝日があります。その一つが4月30日、女王誕生日です。この季節のオランダは日本ほどに気温が高くはなくむしろ肌寒いのですが、冬の嵐は止み、天気が良いことも多くなって、人々は春の訪れを喜び合います。丁度その時期にあるオランダの女王誕生日は、春の訪れをお祝いする絶好の祝日になるのです。実は、女王誕生日とはいってもこの日は現ベアトリクス女王の誕生日はなく、ベアトリクス女王の母上ユリアナ前女王の誕生日(作者注:ユリアナ前女王は2004年3月20日にご逝去なさいました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます)。本当のベアトリクス女王の誕生日は1月であるために、「寒い1月よりも、季節のいい4月の祝日を残しましょう」というベアトリクス女王のご意見で、前女王の時のまま4月30日が女王誕生日(Queen's Day)となった経緯があるそうです。

この日オランダは大騒ぎ。ロイヤルカラーであるオレンジのTシャツなどで身を包み、人によっては訳の分からないカラフルな帽子をかぶったりして、街を人々が埋め尽くします。無礼講という言葉がぴったりする状況で、若者は昼間からビールを飲みながら歩き、騒ぎます。私たちにとって初めての女王誕生日、私たちはライデンに住む友人の元へ電車で行ったのですが、アムステルダム方面に向かう電車は酔っぱらった若者がいっぱいで盛り上がっており、車両が宴会場のようでした。帰宅する夕方頃は、「子供連れで電車はよした方がいい」という友人のアドバイスにも「確かにそうだろうなあ」と思わされ、車でロッテルダムまで送ってもらいました。実際、翌日に街のセントラム(中心部)に出ると夜中の暴走の傷跡が生々しく残っていたのでした。おびただたしいゴミ、割られたショーウインドウ等々。一体、ここで何が起きていたのでしょう。地元でサッカーの試合があるときと女王誕生日の夜は子連れが街を出歩いてはいけない・・と覚えておいた方がよさそうです。

ただ、別に女王誕生日はお酒を飲む日というだけではありません。街全体がお祭り気分で、中央の広場には移動遊園地や移動動物園が出、子供達も楽しめるようになっています。また、この日は何を売っても良い日ということになっているそうで、街のいたるところにフリーマーケットが出ます。地域によっては子供限定の場所もあり、小学生が自分の遊ばなくなったおもちゃを売っていたりするそうです。さすが商人の国・・といったところでしょうか。

どこもかしこも人でいっぱいで、そのどの顔もうれしそう。やはり春の到来がうれしいのでしょうか。あるいは本当にベアトリクス女王を敬っているからなのでしょうか。この日、ベアトリクス女王は神出鬼没です。あらかじめ発表されることなしにオランダ国内のどこかの市に現れるのだとか。王女は自分の車でドライブを楽しみますし、電車やトラムもばんばん使います。ロイヤルファミリーみんなが非常に庶民的なのですがその分親しまれ、愛されているようなのでした。厳格な身分制度が存在せず、他のヨーロッパの国々に比べて平等意識が強いこの国では、この国なりの女王への敬愛の情が育まれているようです。

4月30日の後は5月5日も祝日です。こどもの日ではなく、解放記念日。第二次世界大戦時、ドイツの占領から解放された日になります。この日があと数ヶ月早ければ、アンネフランクの悲劇はなかったのです(アンネが亡くなったのはその二ヶ月前、3月頃と言われています)。女王誕生日とは意味合いが相当違うので、お祭り騒ぎのようなことにはなりません。前日の戦没者追悼記念日と併せて、祈りの日と言っていいでしょう。日本の終戦記念日と同様です。

オランダにやってきたばかりの4月から5月にかけて、イースターやらこれらの祝日が続き、「オランダって祝日の多い良いところだわあ」と喜んだのもつかの間、実は国民の祝日はこの季節に集中しているだけで日本よりもずっと少ないことがわかってがっかり。もっとも、オランダ人は日本人のように暦通りの休日だけが休日ではないので、彼らに不満はないのです。おおかたのビジネスマンは土日が休日であるだけでなく、金曜日も隔週で休みを取ります。おかげで金曜日は通勤ラッシュがいつもよりもずっと少なく、午後は行楽に向かう車で混みます。

これらは日本でも話題のワークシェアを取り入れているために起こる現象です。それぞれの労働時間を減らすことによって、雇用を確保するのです。おかげで失業者は減り、経済が活性化され、治安もよくなったと聞きます(以前を知らないので私自身が比較することができません)。日本もこれを見習おうという動きが一部にあります。が、果たして日本で成功するでしょうか。

オランダでも連休となれば行楽地へ出かけていく人の波で高速道路は埋まりますが、基本的に人々は太陽の日を浴びて近所を散歩し、家のベランダや庭でコーヒーや食事を楽しんで休日を過ごします。休日を過ごすことで却って疲れている日本人とは状況が違うような気がします。私たちがたっぷり休日をもらったとして、果たして私たちはオランダ人のようにそれを楽しむことは出来るのでしょうか? オランダでワークシェアが成功しているのは、オランダ人が他人と比較して自分たちの幸せを計ることなく、自分なりの楽しみを見つけられる人々であるからなのではないかと思うのです。

ある人はやはり日常とは違う町中に自分を置くことでリフレッシュできるでしょうし、家族で家の周りを散歩するだけでも幸せに思える人もいます。私の場合・・この東京のマンションがオランダで過ごしていたアパートのように緑にあふれたところなら、こんなに旅に惹かれることはないかもしれません。「出かけたりしないで、おうちにいたーい」と思えるようなところに住むのが私の夢です。しばらくは、やっぱり次の旅行の計画を夢想して楽しむしかなさそうです。


(2003年5月2日記)
posted by Kako at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 制度
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/3070379

この記事へのトラックバック