2004年04月12日

オランダの車事情

国が変わると交通ルールも変わります。そして、その交通ルールへの考え方も変わります。例えば、日本なら基本的に信号は歩行者でも守るものですが、国によっては守らないことが当たり前だったりするのです。びゅんびゅん走り抜ける車の間をひょいひょいと渡るのには驚かされます。これは交通ルールは「守るべき規範」ではなく「便宜上あるもの」であって、守ろうと破ろうと円滑に事が進むなら問題はなく、またもし事故に遭うようなことがあればそれは自己責任であるという考え方からくるのでしょう。オランダの場合はその考え方がフランスほどには強くありませんが、ドイツほどルールを守るべきだとは考えていないようでした。
それでも、スピード違反には取り締まりが厳しく、一般道にあるオービス(いわゆるねずみ取り)はほんの少しのスピード違反も許してくれません。おかげで私も6キロオーバーで違反金を払うはめになりました。反面、飲酒運転には寛大で、ビール一本程度の飲酒なら問題ないようです。これは身体の大きさが日本人と比べてかなり大きく、お酒の消化の早さが違うからと言うこともあるでしょう。日本人が欧米人と同じように飲酒してつかまらないかどうかは試してみなかったので分かりません。でも、飲酒をすると自分ではあまり酔っていないつもりでも判断力や敏捷性が落ちるものです。つかまらないからといって、やっていいということでは決してないでしょう。オランダ人もそう考えているのかもしれません。

交通ルールの違いは別に取り締まりということだけでなく、実際に路上を運転する上での決まり事にもあてはまります。オランダで特に日本と違うのはもちろん右側通行という点ですが、一番とまどったのは「右方優先」というやつでした。これは自分の右側から来る車は、自分よりも優先されるということ。言葉にすると何のことやら分かりませんが、例えば自分が直進をしていたとしても、右側から出てくる車がいたら自分は停まって前に入れてあげるか、あるいはその車が前を横切って左折するのを待たなければいけません。
これには二つの困った点があります。まずは、いつ右側から車が出てくるか分からないのでスピードを出せないこと。そしてもう一つは、右側から来た車が左折しようとしているとき、もし対向車線にひっきりなしに車がやってきていれば、車がとぎれて左折できるようになる(左折しようとする車にとっては対向車線の車は右側から来ますから優先になります)までその車が自分の車の進行方向をふさいでしまうことです。おかげですぐに渋滞が引き起こされてしまうのです。オランダの渋滞は日本に比べればかわいいものですが、他のヨーロッパの国々の人から見れば信じられないくらいひどいものという印象があるようです。
もっともこれは事故を招きやすいこともあってオランダでも見直しが進んでいるようです。私たちが滞在している間にも、今まで右方優先しなければいけなかった道路がどんどん直進優先道路へと変更されていきました。おそらく、車がごく少なかった時代に作られたルールが今に至るまで残ってしまったのでしょう。

オランダだけでなく、ヨーロッパ全体に見られるルールとしては、ロータリーやロードバンプ。ロータリーは日本でもごく一部に見られますが、交差点で信号の代わりに円形の一方通行道路が設けられていて、ぐるぐる回りながら自分の行きたい方向の道が側に来たら逸れていくという仕組みになっています。慣れないと、回っている内に自分がどっちをむいているんだかわからなくなりそうです。ただ、これに慣れると、信号待ちの時間がなくなるのでとても重宝に感じるようになります。交通量の多いところでは無理があるので郊外に多く、やはり車の絶対量の少ない時代のルールだという気がします。
ロードバンプは住宅地にあり、道路のところどころを盛り上げ、車が必然的にスピードを落とすようになっているもの。この盛り上げ具合は別に規定があるわけではないらしく、場所によって高さがまちまちです。イギリスでは愛称を「眠れる警官」というのだそうで、確かに子供も安心して家の前を歩かせることが出来ます。もっとも、ヨーロッパは歩道もちゃんとありますから、そう心配なこともないのですが。日本では住宅地で道が狭いというのに、抜け道マップに載ってしまったために猛スピードの車が通るという道もありますが、こんなところに是非設けてもらいたいものです。

交通ルールの他にも、運転マナーなど、違いは沢山あります。日本では走行中にドアをロックするのが当たり前で、車によってはスピードがある程度以上になったら自動的に全てのドアがロックされたりしますが、ヨーロッパではロックをしないのが普通です。事故などの際、すぐに出られるようにというのがその理由です。これが治安の悪い南米などになると、いつ強盗に遭うのか分からないのでロックは必須なのだそうですから、お国によりかなり事情が違いますね。

オランダ特有の事情といえば、跳ね橋の存在でしょう。オランダは国内に運河が張り巡らされているのですが、これは別に観光のために残っているというわけではなく、今でも物資の輸送の要になっています。荷を載せたボートが運河を往来し、時には橋の部分を通らなければいけません。水面が橋よりもずっと低い場合には問題ありませんが、土地自体が低いこの国では橋が邪魔になってしまいます。そこで、橋の真ん中から折れて、あるいは橋全体だったり一部だったりが跳ね上がるように持ち上がり、船を通せるようになっているのです。この跳ね橋が、オランダ国内には至る所にあります。家によっては、跳ね橋を渡らなければ家の敷地に入れないようにして防犯対策としていたりしますが、そんな小さな跳ね橋ならなんの問題もありません。むしろ風情のあるものでしょう。問題は大きな幹線道路にもある点です。ロッテルダムでも市の中心部の道路の他、なんと高速道路にまで跳ね橋があるので驚きです。高速道路の場合は跳ね橋があがるずいぶん前から線路の踏切のような警告音が鳴り響き、遮断機が下ります。一旦跳ね橋があがると十数分元に戻りませんから、大渋滞が起こりることになります。まあ、運輸業の要が船だというのなら、道路が閉鎖されても影響が少ないということなのでしょうか。

車そのものはアメリカや日本と違い、マニュアル車がほとんどです。オートマ車を購入しようとすると長い間待たされることになるそうです。幸い、私のマイカーは一代目、二代目とマニュアル車だったため慣れているので、苦労せずに済みました。当時はまだマニュアル車の中古の方が安く数も多かったためですが、人間、何が幸いするか分からないものです。

古い車を大切に乗るという風潮もありました。おかげでオランダでは年式が古くなっててもあまり値段が下がりません。次から次へモデルチェンジがあるたびに乗り換える日本人というのは、いかがなものかという気がします。また、そういう狂ったような消費行動を基準に景気の善し悪しを考えるというのも、おかしな話です。日本人は車を磨き立てますが、本当の意味でもっと車を大切にすべきなのかもしれません。 「もうすぐ車検ですね。如何ですか? そろそろ新車を・・」という電話に辟易している今日この頃なのです。(車業界の方、申し訳ありません)

(2003/5/30記)
posted by Kako at 20:47| Comment(0) | TrackBack(1) | 制度
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