2004年04月15日

オランダの住まい

週末を目前に控えた金曜日の新聞折り込み広告は、マンションや建て売り住宅で花盛りです。週末の見学会などを宣伝するためなのでしょう。今は金利も低いし、マンションなどの物件そのものの値段も下がって随分手頃な雰囲気になりました。オランダはどうなのでしょう。現在オランダに住んでいる友人の話によると、物件が少ないせいで賃貸料が上がっているようです。東京ほどの高さではないにしても、他の物価を考えるとかなり高めの印象がありました。その代わり賃貸ではなく購入するとなれば案外安いらしく、購入してしまう方がずっと得のようです。ただし、他のヨーロッパの都市と同様古い家を大切に使う考え方が強いので、新築を建てるということはあまりありません。外枠となる家を買って内装を新たにするということがほとんどだそうです。

オランダの場合、住宅用の建物は大きく分けて3つに分けることができます。一戸建て、アパート、そして長屋式のテラスハウス(何故か日本人はこれをローハウスと呼んでいるのですが、イギリス人の先生にそんな言葉はこちらには存在しないと言われました)です。都心と新興住宅地にはアパートが多いのですが、ほとんどの住宅地に占めているのがテラスハウスでした。

テラスハウスというのは数軒が長屋状に横につながった住居のことです。大抵はそれぞれの世帯が2階か3階建てになっており、中の間取りもあまり変わりません。一階にリビング、奥にキッチンがあり、庭に抜けることができます。二階にはベッドルームが2??3室とバスルーム、三階のある家には屋根裏部屋がつきます。一階が全て物置になっていて二階にリビングルームとキッチンがある家もありますが少数派で、ほぼ同じ間取りをしているために初めて伺ったお宅でもトイレの位置がはっきり分かります。かなり急な階段がついているので、年を取るとアパートに移ることが多いようでした。ちなみに我が娘もお友達の家の階段で落ちました。幸いお友達のママが階段下に居て受け止めて下さったので大事に至りませんでしたが、小さなお子さんのいる家庭では常に気を遣わなければいけないようです。

リビングは日本のそれとは大違いでかなり広めです。この広さに慣れると日本に戻ったときの逆カルチャーショックを受けることになってしまいます。まあ、リビングに限らずどの部屋も日本のものよりかなり広いので、「調子に乗って色々買い込んでいたら、帰国するときに荷物が入らなかった・・」等という場合もあるそうです。これはオランダばかりでなく、他の様々な国々に当てはまることかもしれませんが。日本の住宅政策は一体どうなっているのだと思いたくなります。

こんな風に書くと相当立派な建物のように感じますが、全体的に建物の質は悪いように感じました。地震がほとんどない地域のせいか耐震構造になっておらず、地盤も軟らかいために基礎がしっかりいっていないようです。壁に亀裂の入っている住居をよくみかけましたし、あきらかに傾いている家もあります。我が家のアパートの場合も、閉まらないドアがいくつかありました。オランダ人は細かいことが気にならないのでしょうか?

気にしないのは建て付けの善し悪しだけでなく、方角ものようです。道路を面して向かい合っている家は家の向きが逆になるわけですが、それでも家の間取りは変わりません。「リビングは南向きに」と思う日本人とは違うようなのです。日本人は住居に日当たりの良さを求めますが、オランダの人たちには関係ないらしく、むしろ太陽が差し込むことで家具が傷むと考える人もいるのだそうです。
となると日本人の気にする家相や風水は果たして・・?

そうそう、住居としてはこれらの建物の他にボートハウスなるものが存在するのもオランダの特徴です。建物に住むと高額の税金を払わなければいけないため。これを嫌って運河上にボートを停泊させ、ここで生活をするのです。ボートとは言ってもこれで運河を航行することはあまりなく、一カ所に停留したままです。というのも近くの電線から引っ張ってきて電気を使用したり、郵便物も届くようになっていて、本当に住宅として地域に根付いた利用の仕方をしているからなのです。ボートの甲板に当たる部分はテラスとして利用されており、花なども飾られて一般住宅のウッドデッキのような外観です。

オランダ人はとにかくこれらの自分たちの住まいを大切にします。綺麗に掃除をして磨き上げ、まるでモデルルームのようにしています。オランダ人の親しい友人もいないのに、何故そんな家の中の様子が分かるのかというと、これらの暮らしが全て私たちにも見えるからなのでした。オランダ人の住居の大きな特徴はその窓の大きさです。

壁のほとんどが窓なのではないかと思うほどの大きな窓が、一階リビングの通り側にでーんとそびえていることがほとんどなのです。そして驚いたことにここにカーテンをしないのです。通りを歩く人に家の中は丸見えです。もともと宗教的な意味が強かったらしく、質素倹約を旨とするプロテスタントでは「私はこんな風に質素に生活しいます。どうぞご覧下さい」と公開するためだったのだそうです。これに慣れるまでは、通りを歩いているだけで家の中の人と目が合いそうで落ち着きませんでした。実際、本当に恥ずかしがる様子もなく悠然と通りに向かって座り、コーヒーを飲んでいたりするのです。あまりにどうどうとしているので、素敵なインテリアも手伝って、その家が一瞬喫茶店なのかと勘違いしそうになったものでした。

このはめ込みの窓は掃除をするのも大変で、窓ふき業者に依頼する人も多いようでした。ただし、日にちの指定をするわけではなく、年間を通しての契約だったりするので、ある日突然窓の外で人が掃除をしていて驚かされる場合もあります。私も、たまたまアパートの下の人が依頼していて、間違って我が家の分もしてくれたことがあり、ある日突然、4階の我が家の窓の外に人が居てびっくりしました。着替え中ではなかったのが不幸中の幸いでしたが、カーテンをしないオランダ人のこと、こんな事態が起こってもおかしくないわけです。気にならないのでしょうかね?

こんな風に日本との違いに驚くことも多かったのですが、オランダ人にとっては「衣・食・住」の中で住がもっとも大切な物だと考えられているようでした。それだけにこだわりもひとしお。次回もまだこの話題が続きます。

(2003/6/21記)
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