2004年04月16日

オランダの住まい2

オランダの家屋は本当に綺麗です。お掃除に抜かりはなく、インテリアも雑誌から切り抜いたかのようなハイセンスのものばかり。そういった背景もあって街には家具などのインテリアのお店が多く、ご夫婦で楽しみながら品定めしている姿をよくみかけました。それで色々な検討の結果家具を購入した時には、それを口実に友人を家に招くことも多いのだそうです。自分たちが綺麗にしているだけに人の家のことも気になるようです。庭を荒れ放題にしていたりするとお叱りを受けます。スエーデン人の友人は、「あなたの家の壁は汚れているね。そろそろ掃除しないといけないな」と隣人から言われたと目を丸くしていました。「だって、たいして汚れてないのよ?」とは彼女の弁。まあ、オランダ人の基準だと少し違うのかもしれません。

そうやって相互監視をするためにあんな大きな窓があるのでしょうか。前回も書いたように、家の中はかなり外から見ることが出来ます。人に見られても構わない生活をしているからなのかと思いきや、他人は中を覗かないものと思っているフシもあって、そのどちらが正しいのかよく分かりません。我が家はアパートに住んでいたのですが、棟が3つでコの字型に建っていいて、お互いのリビング同士が向き合っている状態になっていました。たまたまその地域には外国人も結構住んでいたのでカーテンをしているお宅も多かったのですが、半分以上はオランダ人。彼らの生活は手に取るように見えます。
アパートには普通老人か若い人しか住みません。斜め前のその世帯には若い女性が一人で住んでいました。学生にしては年齢が上で、妙に色っぽく、強いて言うなら誰かの「愛人」といった風情です。もともとかなり露出度の高い服でベランダに出てきてはいたのですが、ある朝主人が我が家のカーテンを開けると、彼女はパンティだけを身につけた状態で窓際に立っていたのでした。主人は喜ぶと言うよりも度肝を抜かれた感じで呆然としてしまったようです。
また、これは私の友人の話。テラスハウスに住むその友人が自分の隣の家の前を通り過ぎようとすると、窓の方に向かって座っている隣人が目に入ってきました。多少お年は召していますがれっきとした女性だそうです。彼女は椅子に腰掛けてすね毛を抜いていたのでした。「あ、これは知らないふりをしなければ」と思った次の瞬間、その隣人は友人に気付いてにっこりと笑い、「はあい」と手を振ってくれたのだそうです。
欧米人というのはプライバシーを大切にするものだと思ってきたのですが、こんな状態を見ると疑いたくなります。

夜になるとより一層家の中が見えます。ただし、日本のように昼間のような明るさの室内が現れるわけではありません。欧米ではほとんど蛍光灯を使わないのです。日本では暗いのは目に悪いと言われますが、欧米では逆に明るすぎる光は目によくないと考えられているからのようです。ですから、蛍光灯を手に入れることは難しく、またもしようやく手に入れたとしても、「みっともない!」とご近所からクレームが付くこともあるという話を聞いたことがあります。
白熱灯やハロゲンランプはろうそくの暖かみに通じるものがあるような気がします。その辺りもオランダの人の心を捕らえるのかもしれません。どの家庭も間接照明にして穏やかに明かりを採り、陰影を楽しんでいます。慣れると、蛍光灯で全体をのっぺりと照らす方法はなんだか味気なく感じるようになりますが、やはり目にはよくないのでしょうか。子供がいると気になります。目の色により日光などの光への耐性は変わりますから、オランダ人と日本人とでは同じ事が言えないかもしれません。

まあ、さすがにトイレお風呂までは外からは見えません(見えたら大変ですが)。このトイレが日本とはずいぶんと違います。水洗トイレというシステムは変わらないのですが、妙に便座が高いのです。平均身長が女性でも170センチを超えるのですから当然といえば当然なのかもしれませんが、子供には上に乗るのが難しくなってしまいます。私も154センチと日本人女性の中でも小さい方なので、トイレによっては座ると足が床につきません。ぶらぶらと足を揺らしていると自分が小さな子供になったような気になります。そして、用を足した後、さて手を洗おうとすると手洗い場の鏡がはるか上の方にあることがあります。ついでに身だしなみを整えて・・ということが出来ないのですから不便です。これはやはり身長の高いデンマークなども一緒でした。

平均身長が高いオランダでは、大変なのがトイレだけではありません。台所のシンクが非常に高く、住み始めた頃は肩が凝ってしまうほどでした。私のようにあまり背の高くない日本人の中には、かかとの高いスリッパを履いたり、厚みのある長い板を置いて踏み台代わりにしたり、色々と工夫をしている人もいました。

住まいというのは生活の場そのものなので、目に付くことが沢山ありました。そのどれも、オランダの人にとってはあたりまえのことなのかもしれませんが、これが「異文化体験」というものなのでしょう。不便に感じることも多いのですが、住んだからこその経験は私にとって宝物です。

(2003/6/27記)
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