2004年04月18日

オランダのマスメディア

皆さん、朝起きたらまず新聞を読むという方も多いのではないでしょうか? 改めて考えてみると、あれだけの情報を毎日毎日原稿にして各戸に配っているのだなんて、すごいことですよね。日本では当たり前のこの習慣、実は他の国にはないようなのです。他国で新聞を読もうと思ったらたいていは街角のスタンドで手に入れることになります。日本のスポーツ新聞と同じ感覚ですね。こういったお金を支払って買う新聞の他には、駅のホームなどに置かれている無料の新聞もあります。私はオランダ語が分からないので詳しい事はわかりませんが、地域の限定されたもののようで、市内で行われるイベントやお知らせなどを知ることが出来るので便利です。さしずめ日本の広報紙といったところでしょう。古物の売買情報やバイトの募集など、読んでいるだけであきません(オランダ語が分からなくても想像することは出来ます)。

新聞以外の雑誌はスーパーなどで売られています。ファッション誌、テレビガイド、ガーデニングやペット関係・・。日本の女性誌に替わるゴシップ誌などもあってそんなに日本と変わりありませんが、日本で幅をきかせているマンガ週刊誌は少ししかみかけません。コミック子供が読むもものとされているので、大人向けの雑誌としてはあまり存在しないのです。それに女性の裸が表紙になっているような雑誌も見かけません。識者の意見に「あんな青少年に害のある写真がおおっぴらに表に出ているのは日本ぐらいだ」というのがありますが、それは確かにオランダに住んでいると実感します。

それでは、オランダではそういった性に関することがタブーなのかと思うと、まったくそんなことはありません。むしろ寛容だと言ってよいようです。何しろ、飾り窓地区(アムステルダムにある売春街)が合法的に存在する国ですから。さすがに日中はやっていませんが、深夜のテレビでは「こんな映像、流しちゃっていいの?」というような映画などがしょっちゅう放映されています。一般放送でこれなら、アダルトビデオなんてどんなことになっているのだろう? と疑問に思ったものです。興味のある方は、ホテルの有料チャンネルなどで見てみて、報告をお願いいたします。

まあ、テレビそのものへの考え方も日本人と多少違うのかもしれません。平地で国土が狭いこともあってケーブルテレビが主流ですし、もともと個人主義が強くて流行にながされたり「人気がある番組だから」という理由で見るということがないようなので、視聴者への影響が少ないと考えられているのでしょうか。あるいはどの番組を見るのかは本人または親が決定すべき問題で、自己責任だと思われている部分もあるのかもしれません。

それでは実際にオランダではどんなテレビ番組が放映されているのでしょうか? 残念ながら言葉の問題があったので見るのは音楽番組に限られていたのですが、ごくたまに覗いた番組の内容を想像すると、そんなに日本とは替わらない番組も結構あるように感じました。バスの中に若い男女が数人で乗っていて、毎回少しずつその人間関係が変わっていくその名も「バス」という名の番組は、おそらく日本の「あいのり」と同じような内容なのでしょう。日本の番組がこちらを真似したのかもしれませんが。

堅めのクイズ番組の他、一般素人のののしり合いなどもあります。これは日本で言うところのゴールデンタイムに放映されているのにも関わらずピー音(不適切な言葉に雑音を入れて消したもの)の嵐。察するところ、パートナーの男性の浮気を告発していたら当の浮気相手が登場。つかみかからんばかりの剣幕でお互いをこきおろしまくり・・というようなシチュエーションで、会場はそのけんかを嘲笑し、時にはどちらかの味方をしているようです。よく見かけたところをみると人気の番組だったのかもしれません。あまり趣味がいいとは言えない気がします。

趣味がよくない、というのは、オランダのテレビ番組全体の印象でもあります。信じられないような色彩や、グロテスクな場面で構成されてとても食事中には見たくないようなCMもよくありました。まあ、その辺も寛容さの表れなのか、あるいは単に下品なだけなのかよく分かりませんが、あのお騒がせロシア人デュオt.a.t.u.のPVがイギリスでは放映禁止になったことを考えると、そばにありながらイギリスとでは価値観がまったく違うのだと言えるかもしれません。もっとも私が抱いた印象と同様のことはオランダ人自身も感じているらしく、テレビという物は知性のある大人が見る物だとはあまり思っていないようです。見ることは見るものの、そのことをおおっぴらに話題にするほどには市民権を与えていないのだと聞いたことがあります。人気のテレビ番組を見ていなければ話題についていけない日本とはちょっと違いますね。

ところで、最近ではケーブルテレビの普及などで沢山のチャンネルを見ることができるようになったオランダですが、以前は民営のテレビ局がほとんどなかったのだそうです。法律による規制があったらしいのですが、それではその時代は娯楽があまりなかったのかというとそうとばかりは言えず、いくら国内で規制しても外国からの電波は入ってくるわけで、取り分けルクセンブルクからはオランダ語の放送が入っていてこれを楽しんだのだそうです。ヨーロッパのあちこちを旅するとそれぞれの国でRTLという放送局を目にするのですが、それはどれもルクセンブルクで発信されているもので、驚いたことにそれぞれの国の言語で放送されています。つまり、小国ルクセンブルクは、大エンターテインメント輸出国なのでした。こういった産業が成り立つのも、ヨーロッパという地続きの環境のならではです。

テレビというのは文化を映しているのでしょうか? だとすれば日本の文化水準は高いのでしょうか? 低いのでしょうか? でも、これだけは言えます。日本のアニメーションの質の高さは群を抜いています。ヨーロッパ各国で日本のアニメは旧い物から新しい物まで沢山目にすることが出来ますが、子供達の人気は高いようです。少なくても、そこにはプライドをもってよさそうですが、果たしてそれだけでいいものかどうか・・・

(2003/7/11記)
posted by Kako at 21:52| Comment(1) | TrackBack(0) | 文化・芸術
この記事へのコメント
私が愛していたオランダのテレビ番組は
“Lingo”という視聴者参加型のゲーム番組でした。

どんなゲームなのかは
なかなか説明しにくいのですが......、

とりあえず私のblogで
拙い説明を試みました。

▼Lingo
<a href="http://bijenkorf.cocolog-nifty.com/spelen/2004/03/lingo.html">http://bijenkorf.cocolog-nifty.com/spelen/2004/03/lingo.html</a>

たしかに言葉がわからないので
オランダのテレビ番組を見るのには
一定の抵抗感がありますが、

ゲームのルールが単純で
わかりやすかったことと、

参加する一般視聴者の
ゲームを楽しむ屈託のない笑顔が
好きでした。

失礼いたしました。
Posted by De Bijenkorf at 2004年04月21日 06:56
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