日本も北東北の学校になると水泳の授業は極端に少なくなり、北海道になるとプールのない学校も結構あるようです。プールに入れるほどの暑さになるのが夏休み中の短い間だけになってしまうからでしょう。その夏休みもほんの一ヶ月ほどしかなく、あっという間に終わってしまうのですが(北東北から北海道にかけては夏休みが8月20日頃までです。すっかり二学期の学校生活に慣れた8月31日、「今日で夏休みも終わりです」などというニュースが流れるとむっとしたものでした)、おかげで北海道出身の人に泳ぎの苦手な人は多いようです(間違っていたらごめんなさい)。
では、オランダの子供達も泳ぎは苦手でしょうか? 答えは否と言ってよいようです。オランダの子供達も日本ほどではありませんが習い事をしている子供達が結構居ます。その一番の人気はスイミングなのだそうです。
何故、スイミングが人気なのか、ということには理由がありそうです。以前にも書きましたが、オランダには国土全体に張り巡らされたように運河があります。100メートル歩く間に必ず運河に出会うと言っても大げさではないほどなのです。そして、驚いたことにそのどこにも柵らしきものは見あたりません。草むらや道路を歩いているそのすぐ横に、地面とあまり変わらない高さに水面があるのです。暑い夏だったりすると藻が大量発生するので、地面との区別がつかないほど。遊びにやって来た私の友人は「教えてもらってなかったら、芝生かと思ってそのまま歩いていっちゃうよ!」と怒っていました。
こんな風に身近に運河があれば、当然水の事故を防ぐよう、努力する必要があります。それでなくても自己責任の国ですから。そのため、オランダの子供達のスイミングスクールでの最終目標は「着衣水泳(洋服を着たまま泳ぐこと)**m」になるようです。日本の学校では記録の方が重視されている気がしますが、こうした生活に密着した学習の方が必要ではないでしょうか? 同じ理由で、お金を借りたときの利子の計算の仕方とか、身近な法律の知識とか、そんなものを教えてくれたら、もっと役に立つ授業になるし、子供達も興味を持って取り組むのではないかと考えてしまいます。
つい、脱線してしまいました。話を夏に戻すと、娘にとって日本の夏の楽しいことは「花火」でもあるようです。オランダでも花火を見ることができますが、これは年末のこと(これについてはまた後日書きたいと思います)。しかも打ち上げ式の物がほとんどで、子供達が手に持って楽しむような花火にはあまりお目にかかれません。技術的な問題もあるでしょうが、線香花火を愛でることが出来る感性はオランダ人にはないでしょう。打ち上げ花火の終わった後に感じる「過ぎゆく夏を惜しむ」感覚も日本人ならではではないでしょうか。娘がそんなわびさびを理解してるとも思えませんが、日本に戻って最初の夏、娘はお友達と花火を楽しんだのがよっぽどうれしかったようです。今でもことあるごとに花火をやりたがります。
オランダの夏の風物詩といえばなんでしょうか? 明確にここからが夏ということがないヨーロッパでは日本ほどの「定番」があるわけではないような気がします。ただ、夏になる度私たちが悩まされたのは蚊でした。
これも運河と大いに関係があります。運河は場所により海に直結していて流れがあるところもありますが、ほとんどは溜めた池のようになっています。おかげでボウフラがわき放題。当然、蚊が大量発生することになります。日本なら蚊は盛夏にしかいませんが、オランダの蚊は寒さに強く、かなり気温が低くても十分元気なのです。田舎育ちの私はあまり気になりませんが、都会で生まれ育ち肌の弱い主人には何故か蚊が集中。朝起きたとき、「一体何があったんだ!」というふうに真っ赤な発疹があちらこちに出来て見るも無惨な状況になってしまいます。蚊よけのべー○マットのようなものも売られていましたが、何が効くって蚊取り線香に勝る物はありませんでした。オランダには売っていませんから、日本から緊急に大量送ってもらいました。もし、税関の職員が開けたなら、緑色の渦巻きに頭の中ははてなのマークでいっぱいになったことでしょう。
今年のヨーロッパは異常なくらい気温が高いようです。例年なら東京のあまりの暑さに「オランダに帰りたいよう」と思うところなのですが、今年は逆のよう。もっともこんなことを書いた一週間後、「一週間前が嘘みたーい」ということだって、十分あり得るわけですが。晴れ渡った空が見たいと思う反面、溶けそうなぐらいの日差しは嫌だと思う、わがままな私です。
(2003年7月16日記)