2004年05月04日

学校の昼食

日本の学校に通ったほとんどの人が学校給食を経験し、色々な思い出を持っておられることと思います。
もともとは貧困家庭の児童のために栄養補助を目的として始まったのだそうですが、全員一律の給食になってもうずいぶんになると言います。その間、随分給食も進化しました。娘の給食献立表を見て驚くこともあります。ビビンバだったり、中華だったり。バラエティに富んでいます。

私は脱脂粉乳を経験せず、途中から米飯給食が始まった世代。恵まれていたと言えるのでしょうが、いくつもの学校を渡り歩いて感じたのは地域差、学校差でした。そのメニューから味まで、本当に格差があるのです。一食あたりの予算にそんなに違いがあるのでしょうか? いえ、栄養士さんが変わっただけでがらっと変わったりするのですから、そうだとも言えないでしょう。国内でもこんなわけですから、海外の場合相当に事情が違うと言うことは想像に難くありません。海外にも学校給食のある国は結構あるようです。やはり貧困家庭の児童を救済するために始まったところが多いのですが、裕福な私立学校ではリッチな献立だったりもします。これを書くのに少し調べてみたのですが、あるフランスの幼稚園の給食献立表など立派なレストランのメニューのようでびっくりしました。こうしてあの食通としての味覚は作られていくと言うことでしょうか。

それでは、「生きるために食べる」オランダ人はどうでしょうか? ご想像通り、給食などありません。
お弁当ということになりますが、パンにチーズかハムを挟んだだけのものがほとんど。これに果物がつけば大ごちそうなのでした。色とりどりの、工夫をこらしたお弁当をこしらえる日本人とは随分違います。「これでもう困らない! 幼稚園のお弁当」などという本が書店に並ぶことをオランダ人が知ったら、驚くこと間違いなしです。

しかし、実はお弁当を持っていくというのもオランダでは最近始まったばかりの習慣です。いえ、一部の学校ではいまだにやっていません。なんとお昼の時間に一時帰宅するのです。
スペインの慣習を思い出す方も多いのではないでしょうか? 最近の都市部では違うようですが、スペインでは仕事に行っても一度お昼に帰宅してシエスタ(昼寝)をとり、4時ぐらいから再度仕事を始めます。夏期の日中はかなりの暑さになって能率が上がらなくなるためにこの習慣があると言います。昼頃になると家々の窓は木戸が閉められ、通りにも人の姿が少なくなるのです。ですが、遙か北に位置するオランダがそんなに暑くなるわけはなく、状況はスペインと異なります。

一部のお弁当を認めない学校によれば、「お昼は午前中にあった出来事を親子で話す大切な時間」と考えているのだとか。夕方帰ってからまとめて話せばいいんじゃないかと思えなくもないのですが、それがスクールポリシーなのでしょう。学区制がないオランダではこういったことも学校の特色のうちの一つで、これらを判断材料に学校を選ぶことになります。
オランダでは通常子供達の安全のために12歳まで学校への送り迎えをしますから、母親は何年もの間日に4回も学校との間を往復する羽目になります。用事があればお友達のおうちやシッターにお願いしたりと、色々対策を練らねばなりません。このことがついこの間まで女性の社会進出を妨げてきたという指摘があります。これはドイツも同様で、男女平等のような印象のある欧米ですが、ヨーロッパ内では国によりまだ女性は思うように働けないようです。
最近お弁当を持ってきてもよい学校がオランダにも増えたのは、社会の構造が変わってきたことによります。日本でも取り上げられているワーキングシェアの先進国・オランダでは、女性が就業することが急に増えたからです。もっとも男性の働き方も多様になったわけで、お昼の送り迎えを男性が担当していたりするのはオランダらしいといえるでしょう。

ところで、娘の通ったインターナショナルスクールには給食らしきものがありました。「Hot Lunch」と呼ばれており、、朝注文するとその日の昼に食べられるというものでした。宗教的になど、生徒達には様々な背景がありますから、一律に同じメニューを食べるというのは無理があるのでしょう。
娘はほとんど毎日これを利用していたのですが、ある時機会があって私も食べることが出来ました。メニューには「ピザ」と書いてあり、どんなものが出てくるのか楽しみにしていたのですが、なんとデリバリーを取り、それを切り分けて生徒に与えていたのでした。日本の給食のイメージを抱いていた私には驚きです。学校にしてみれば給食は「Hot」であるというだけで十分自慢すべきことだったのかもしれませんが、食への考え方が違うと言うことなのでしょうか。お弁当を持ってきたとしてもどうせパンにハム、チーズで、栄養のバランスなど誰も考えていないわけですから。

こうして給食のことを思い起こしてみたのは、数日前新聞に出ていた記事を読んだからです。そこにはアメリカの学校関係者(だったと思います)が日本の学校を訪ね、給食について視察していったことが書かれていました。栄養のバランスがきちんと考えられていることや、給食から様々なことを子供達が学んでいることに感心した様子でした。インターナショナルスクールのホットランチを思い出すと、なるほど、と思わされます。

日本の料理番組などでは栄養のバランスをかなり気にかけているように見えます。健康番組に食事の話題はかかせません。こんなに栄養に気を遣い、見識のある国民は他にないのはないでしょうか。それも、もしかしたら子供の頃から給食を食べているおかげなのかもしれませんね。

(2003年10月24日記)
posted by Kako at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) |
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