「もう間もなくクリスマスです」先日、娘に「サンタさんて何歳まで来てくれるのかな? お母さんはどうだった?」と聞かれたのですが、答えに困ってしまいました。それというのも私の家にはサンタさんが来たことがなかったからなのです。「子供達には夢を与えたいから」と語る多くの親達を後目に、我が家ではそういうメルヘンチックなこととは無縁。両親曰く、「子供に嘘をつきたくなかった」。それが本当かどうか分かりませんが、幼稚園生の頃、他のほとんどの子供達がサンタクロースを信じているのを知ったときはかなり衝撃的でした。ただ、信じているみんなをがっかりさせるのはよくないと子供心にも感じていて、決してそれを口にしないようにしていた記憶があります。
そんな私とは対照的に、我が家の娘はサンタさんの存在を疑いもしていないようです。娘はサンタさんに何を頼むのか未だに決めかねており、それはそれで迷う楽しみを十分満喫しているのでした。オランダの子供達も今頃はシント・ニコラスのことなど忘れて、サンタさんを心待ちにしていることでしょう。その辺は日本もオランダも変わりません。
クリスマス前のおもちゃ屋さんが混むのも日本と一緒です。欧米ではサンタさんから子供達へのプレゼントだけではなく家族友人同士でプレゼントの交換をしますから、それを探す人でごったがえすのです。ただし、日本と同じように宝飾店がカップルでにぎわうのかどうかは、残念ながら観察しはぐってしまいました。
アドベントカレンダーを毎日めくっていき、頂いたクリスマスカードを並べて飾って、クリスマスは近づいていきます。職場もクリスマスホリデーに入りますが、それを前に会社などからプレゼントが配られることが多いようです。日本で師走に頂くものといったらボーナスですが、これは日本独特のもの。海外ではこの習慣はありません。オランダで頂いたのは文字通りクリスマスプレゼントでした。
我が家の場合も年によって内容が違ったので、これといった決まりはないのかもしれませんが、だいたいはクリスマスに関係あるもののようです。スープの缶詰や、ケーキに入れるドライフルーツ、オードブルを載せるためのラスクなど。クリスマス用のキャンドルが入っていたこともあります。オランダの人たちがどんなものでクリスマスを祝うのかが分かってなかなか興味深いものでした。ただ、一人一人専用の段ボールに入れて配られるので、電車通勤していた主人にとってはちょっとありがた迷惑といった面はありましたけれど。
クリスマス用のごちそうの用意も調い、街中の店は早々に閉店して、クリスマスイブは静寂に包まれます。やはり、この夜はキリストの信者にとっては特別なのだということを感じずにはいられませんでした。
日本の場合はこの日を境に街の様子ががらっと変わりますね。その変化は劇的といってよいのではないでしょうか。きれいに飾り付けられていたクリスマスツリーが門松などに取って代わり、もうお正月を迎える準備です。毎年のことながら、このチェンジは大変だろうなあと思ってしまいます。
欧米の場合はお正月を日本ほど盛大に祝う傾向がないので、こんな変化はありません。クリスマスツリーも年明けまで飾られたままです。日本での習慣に慣れた身には、心なしかほこりをかぶったクリスマスツリーが忘れ物のように見えてしまいます。
だからといって、欧米人がクリスマスツリーを大切に思っていないわけではないでしょう。「今年はどんな飾りにしよう」とオーナメント売り場で悩んでいるのは老若男女問わず。日本に戻ってきたときに、あるオーナメント売り場で妙齢の女性が店員に、「適当にこの中から選んでちょうだい」と言っていたのとは対照的です。それだけにクリスマスツリーから外すときにも、きっと家族皆で丁寧にしまっているのだろうなあと想像します。実際、素材がガラスなのかどうか、落としたら割れてしまうような華奢ものがほとんどですから。
もうすぐ、クリスマスです。
皆さん、どうぞ素敵なクリスマスの夜になりますように。
(2003年12月19日記)