2004年06月07日

トイレの話

今日の話は最もプライベートな空間・トイレについてです。あんな小さな部屋ですが、そのプライベートさゆえにそれぞれの国の文化・習慣が色濃く反映される場所のような気がします。最近の日本の子供達は和式のトイレが苦手のようです。物心付いたときから洋式のトイレに慣らされてきた子供達にとって、幼稚園や学校への入学の折りの和式トイレとの出会いは不思議な経験かもしれません。公共のトイレで事前に練習したりもするのですが、なかなかうまくはいかないことも多いようです。生活のスタイルの変化が立ったり座ったりという動作を難しくし、足首を固くしているからなのだとか。
ただ、こういった運動になることを除けば和式トイレはあまり身体にいいものではないようです。お年寄りなど足腰の悪い人にはバランスの取りづらい姿勢ですし、立ち上がるときに急激に血液が頭に流れることによる弊害も指摘されています。
こういった理由からでしょうか。公共のトイレも洋式が増えています。今後和式のトイレは無くなっていくのかもしれません。

オランダは当然全てが洋式トイレです。ラテンの国の人に和式トイレの話をしたら「それはトルコ式と同じね」と言われたので、南欧には和式に似たトイレがあるようです。ただし、私は見たことがないのでよくわかりません。まあ、ヨーロッパでは洋式のトイレがほとんどだと言っていいと思います。
ただ、他の色々な習慣と同様、やはりトイレに関してもヨーロッパ内ではラテン系とゲルマン系では扱いが少し違うようです。
ラテン系の国々のトイレは高級レストランや高級ホテルでもなければかなり汚いものに出会う確率が高くなります。しかもその何割かは何故か便座がありません。便座のないトイレでおしゃれなパリジェンヌ達がどうやって用を足しているのか疑問ですが、私は腰を浮かすという方法で乗り切っていました。子供を連れてそういったトイレに入るときには抱きかかえてやらなければいけません。これはかなり体力が要ります。
反対にゲルマン系の国々ではどんな場所でもそれなりに綺麗に掃除されています。気持ちよく使えるのがうれしいのですが、難点はその便座の位置が高いこと。ドイツはそれほどでもありませんでしたが、オランダでは平均身長が高い(女性でも170センチ以上)せいか、やたらと便座の高いものに出会うことがよくありました。当然子供は登るのも大変そうです。やはり大人が付いてやらないといけません。洗面所の鏡も同様で、日本人にしても背の低い私は顔をのぞき見ることが出来ないことが何回かありました。これは男性にも言えることらしく、朝顔の位置が高くて苦労するようです。こちらの方が深刻かもしれませんね。

オランダのトイレで日本と違うところは、どんなトイレにも必ず紙ナプキンか温風式の手を乾かす装置があるところです。日本もそういうところは多くなってきましたが、まだ全てというわけにはいきません。これはハンカチの使い方の違いによるものだと言えます。
欧米ではハンカチは鼻をかむためのもので、手をふくものではありません。日本人からすると「うわあ、きたなーい」と思ってしまいがちですが、彼らから見れば「濡れてしまったハンカチをまた使うの? きたなーい」ということになるわけで、お互い様です。洗った手を拭くのが紙ナプキンなどである以上、トイレはそれを用意しなければいけないわけです。おかげでオランダ滞在中はハンカチをあまり使いませんでした。

出かけるときにハンカチを持ち歩くというのは日本では当たり前の常識です。子供にも小さなうちからしつけることの一つです。でもそれは欧米では特に常識ではないということになります。海外で暮らすとこの「常識」というものが実はとても曖昧なもので、普遍的なものではないということを感じずにはいられません。

男性用のトイレがどうかは知りませんが、女子用トイレには最近流水音を奏でる機械が個室毎に付いていることが珍しくなくなりました。これはご存じの様に用を足す時に流す水を節約しようと開発されたものです。プライベートな音が恥ずかしいということで水を流しながら用を足す人がほとんどの日本ならではの商品でしょう。海外でみかけることはまずあり得ません。
欧米人の中に用を足すときの音を恥ずかしいという考え方はないようです。もしかしたらそういう理由で水を流すことの方が「資源の無駄遣いをする非常識な人」というレッテルを貼られかねないのかもしれません。国によって感じ方は様々でしょう。

・・と、ここまでは以前に書いた文章なのですが、その後オランダの男子トイレについて面白いことを聞きました。トイレの便器に大抵ハエの絵が描いてあるというのです。主人はずっと「なんて趣味の悪いものを描き入れるんだろう」と思っていたらしいのですが、これは一説によると用を足す際きちんと便器の中に収めて外に飛び散らせないためのまじないのようなものなのだとか。白地に描いてあるハエを見つめることで、集中させようとでもいうのでしょうか? 
この話を聞いて、私たちが子供だった頃塀などに鳥居の絵が描いてあったことを思い出しました。トイレ代わりにされるのを防ぐためだったわけですが、最近は見かけた覚えがありません。生活習慣が変わったこともあるのでしょうが、今時鳥居ぐらいでは効果がないからかもしれません。
オランダの男子トイレのハエはこれからもずっと便器にとまり続けるのでしょうか? なかなか興味深いところです。

(2004/1/16記 のち追記)

さらに後日談。
コメントを頂いたのですが、スキポール空港の男子トイレのお写真がhttp://satoshi.blogs.com/life/2004/02/post_9.htmlにありました。思っていたのよりもずっとリアルです。
(2004/9/7 再追記)
posted by Kako at 23:11| Comment(5) | TrackBack(0) | 文化・芸術
この記事へのコメント
ああ、思い当たる節が一杯(^^)!
わたしも背は小さいので、在ドイツ中に洗面台の鏡が役に立たないことが多々ありました??。トイレも気を付けて奥に座らないと角度が上を向いてしまうので、便座と便器の隙間から前にこぼれてしまうし(とうぜん洋服もー"ー; )、アーリア人はでかいですもんね。友人に聞いたら、北欧系はもっと高いよと、たしかに言ってましたよ??。
トイレの音、洟をかむ音、蕎麦をすする音、蝉の鳴き声をただ雑音にしか聞かない欧米人……ほんと、人間の美意識っておもしろいです(^^)
Posted by mokaneko at 2004年09月01日 10:15
mokanekoさま、こちらまで目を通して頂けたのですね。
どうもありがとうございます。

音って微妙なものらしいですね。セミならまだ分かりますけど、秋の虫の音まで雑音に感じるようですよ。
感性っていうのは、やはり作られるものなのですね。
Posted by Kako at 2004年09月01日 15:12
 男性トイレのハエの絵の話は本当です。この前空港で見たときに参考までに写真を撮ってきましたので、参考までにどうぞ。

<a href="http://satoshi.blogs.com/life/2004/02/post_9.html">http://satoshi.blogs.com/life/2004/02/post_9.html</a>
Posted by Satoshi at 2004年09月07日 08:03
satoshiさま
コメントどうもありがとうございます。

ブログってありがたいですね。
男性トイレの中までのぞけるんですから・・。

せっかくなのでリンクさせて頂きたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。
Posted by Kako at 2004年09月07日 08:58
男性トイレのハエは、まじないではなく、ハエを狙って用を足すためのものです。男の人は目標物があればそれを狙うらしいです。そうすれば必要以上に汚さないワケです。
Posted by おだきち at 2005年09月08日 15:41
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